ケニアの仲間たち~サイザルバスケットの職人3

生産者グループのとりまとめの中で唯一の男性がヘンリー。

数年前に工房が火事になってしまい、オーダーのバスケットの納品が受けられず、支払った前金が回収できないことになりました。一時はサイザルバスケット業をもうやめようかと言ってましたが、何とかその後も、取引を続けることができています。

ヘンリーはボディにハンドルをつける作業などします。朝9時納品の約束に夕方5時すぎに来たことがあります。何度電話しても「もう着きます。向かっています」でまさかの8時間待ち。

ナイロビのアパートは日本のように明るくないため、暗くなってから室内でブラウンとブラックなどの検品は難しく、結局次の日の朝7時から検品をするということもありました。

また納品のバスケットを積んだトラックが、到着したら荷物がひとつなくなっていたというトラブルが起きたこともあります。

納品の際の輸送費は生産者側でなく、こちらの支払いなのですが、車の手配は生産者に任せています。

その時期は雨季だったので、いつザーッとスコールがくるかもわからないので、荷台が覆われているタイプのトラックが好ましいのですが、あえて荷台がオープンになっているタイプのトラックを選んで来たのでした。

結局荷物はバンプ(道にスピードを出さないように、ある突起したもの)の際にスピードを落とすので、その際に荷台から盗まれてしまったようで、その日はその1つの荷物を探すことに費やすことになってしまいました。

私が支払うんだから、安くてもオープントラックで来るべきではなかったと言っても、ケニアの人たちにはこの値段でないと納得しないという強い意志があり、「金額の交渉に命をかける」こだわりはケニアを生き抜くためにどうしても必要なこと。なかなかこのこだわりは曲げられないようです。

 

イコンべも、キャリアの長い職人さんを多く抱えており、納品された商品の中には感動する出来もあるほど。

また楕円底の四角底のバスケットは、難しく編むのをいやがられることが多いのですが、一手に引き受けてくれています。

ボディにねじれがでてしまうのと、ハンドルの位置がむずかしいことがあり、丸底よりも難易度は数段アップ。指摘や直しになるポイントも増えるので、直しの多さに、もう楕円底はやらない!と言われてしまうこともあるのですが、丸底の作りやすいオーダーとセットに受けてもらっています。

 


ケニアの仲間たち